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テレビ協議後、取材に応じる石破茂首相=2025年1月13日午前8時36分、首相官邸、井手さゆり撮影

 石破茂首相は13日、バイデン米大統領、フィリピンのマルコス大統領と行った3カ国首脳テレビ協議で、バイデン氏に対し、同氏が禁止を命じた日本製鉄によるUSスチール買収計画について提起し、日米経済界に広がる懸念を払拭(ふっしょく)するよう対応を求めた。

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 協議後、首相や外務省が明らかにした。首相は協議で、強靱(きょうじん)なサプライチェーン(供給網)の確立のためには同盟国・同志国間の連携が必要不可欠であり、経済安全保障を推進するためにも、企業が安心して投資を行うことができるよう取り組むことが重要であると指摘。その観点から、USスチールの買収問題について言及し、「日本のみならず、米国の経済界からも強い懸念の声が上がっている。懸念の払拭(ふっしょく)を強く求める」とバイデン氏に伝えたという。

 首相の記者団への説明の中で、首相は自身の発言にバイデン氏がどのような反応をしたかは明らかにしていない。首相は「この問題に限らずだが、いろいろなやり取りがあったわけではない。それぞれが自分たちの考えていること、あるいは今までの日米比3カ国のいろんな取り組みの総括・評価を申し述べた」と語った。

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日米比の3カ国首脳によるテレビ協議に臨む石破首相=2025年1月13日午前8時20分、首相公邸、内閣広報室提供

 一方、約25分間にわたって行われた協議では、3国間の海洋安全保障や経済安全保障、インフラ強靱(きょうじん)化などの分野といった分野での協力の継続で一致。石破氏は記者団に「東南アジアはインド太平洋地域の要に位置している」と述べ、「法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋実現のため、さらに努力をしていく」と話した。20日に退任するバイデン氏からは3カ国の安保協力について「次期政権でも取り組みの継続を願う」という発言があったという。

 石破氏はまた、記者団に対し、自身とトランプ次期米大統領との会談時期について「政権発足後、最もふさわしいときに最もふさわしい形で行う」として、早期開催へ最終調整していると明かした。岩屋毅外相が出席予定の大統領就任式で、会談日程について議論する可能性にも言及した。

 日米比の安保協力をめぐっては、インド太平洋地域で権益拡大を図る中国への対抗策を念頭に、米バイデン政権が3カ国の枠組み確立に力を入れてきた。昨年4月には、バイデン氏、岸田文雄首相(当時)、マルコス氏による3カ国での首脳会談を初めて米国で開催した。

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テレビ協議後、取材に応じる石破茂首相=2025年1月13日午前8時34分、首相官邸、井手さゆり撮影

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